10月31日

画像1 (C)ESO/L. Calçada.
今回VLT望遠鏡の観測対象となった白色矮星・J1328-1450とその周りのガス円盤の様子。珍しく2つのリング構造を持つことが判明した。
Nicola Gentille Fusillo氏(トリエステ大学/イタリア)を中心とする研究チームは27日、VLT望遠鏡に搭載された分光器・X-shooterによって白色矮星・J1328-1450を観測した結果、その周りに2つのリング構造があることを発見したと発表した(画像1)。白色矮星周りのガスの速度を観測した結果、2つの異なる速度分布を持つガス円盤があることが判明し、2つのガス円盤の間に隙間があることが確認されたことが、今回の発見につながった。また今回の発見は、太陽系において将来太陽が死にゆく際に、太陽系がどのような構造に変化していくかを理解する上で貴重な資料となるとしている。
一般的に太陽のような星は、生涯を終える際に膨らんでいき、外層が剥ぎ取られていく。そして周りの微惑星は粉々に破壊されていき、粉々になった塵によって1つのリングができあがる。
画像1は、今回の観測結果に基づく白色矮星・J1328-1450とその周りのイメージ図である。中心に太陽に似た星が死にゆく姿を示しており、外層が剥ぎ取られ、中心のコア部分が映し出されている。星が死にゆく際に、惑星が粉々に破壊され、イメージ図のようなガスや塵で構成された円盤ができあがる。今回驚くべきことに、この円盤構造が2つあることが判明した。この2つの円盤構造は極めて安定しており、しっかりと分かれているとしている。またこの円盤は、冥王星と同じくらいの1つの微惑星を含む2つの微惑星が、白色矮星周りを軌道運動する際に、円盤中の塵と相互作用を行い、光り輝く尾を残している。Nicola氏は「中心星が死にゆく際に、周りの微惑星が生き残ることは予測されていたが、実際にその例を見ることができたのは今回が初めてである」とコメントしている。
2つの円盤構造のうち、内側にある円盤構造には直径数kmほどの小惑星が存在し、外側の円盤構造には冥王星もしくは月と同じくらいの大きさを持つ惑星が存在するとしている。また円盤の中にはカルシウム、酸素、マグネシウム、鉄が存在し、太陽系に似た化学組成を持つことが判明した。内側の円盤にはマグネシウムが多く含まれるものの、外側の円盤にはマグネシウムが含まれていないという特徴があることも判明した。このことは微惑星が2つの化学組成の異なる惑星が起源である、もしくは1つの惑星の中心部分と外側の部分が起源である可能性があるとしている。
我々が住む太陽系において、太陽が白色矮星となり地球を壊し始める過程は、今回観測対象となったJ1328-1450と似ている。研究チームの一員であるLagos-Vilches氏は、「今回の研究成果が、太陽系が将来どのような姿になっていくかを理解することにつながる」とコメントしている。