11月22日

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, F. Belfiore, J. Lee and the PHANGS-HST Team.
ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・NGC 4535の姿。
ESAは17日、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・NGC 4535の姿を公開した(写真1)。写真を見ると、中心部分が明るく輝く棒状構造をしており、そこから2本の渦巻腕が伸びている様子がしっかりと写し出されている。しかしHSTの撮影能力の高さがあるためにしっかりと写し出されているだけで、小さな望遠鏡ではかすかな光しか捉えることができない。そのためこの銀河は、「失われた銀河」というニックネームがつけられている。
NGC 4535は、おとめ座方向約5,000万光年離れた場所に位置する。2021年にも撮影が行われたが、今回はPHANGSプログラムによって巨大星を取り巻く赤く輝く星雲の様子を捉えることで、巨大星の最初の数百万年の間の様子を理解することを目的として撮影が行われた。
写真1を見ると、渦巻腕に青色の星が集中している箇所がいくつもあり、これは若い星団を示している。そのまわりをピンク色のガス雲が取り囲んでいる。このガス雲はHⅡ領域と呼ばれ、星形成が活発に行われることを示している。またHⅡ領域を持つ銀河は若く、そこに存在する巨大星から高いエネルギーの放射線が出て、恒星風を吹き出す。そして最終的に超新星を起こし、まわりに散っていくというシナリオを描く。