11月8日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, D. Thilker.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた渦巻銀河・NGC 1511の姿。

 

 ESAは10日、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された渦巻銀河・NGC 1511の写真を公開した(写真1)。我々から見るとこの銀河は傾いているため、ほとんどエッジオン銀河(縁だけが見える銀河)であるが、中心部分から渦巻腕に沿って若い星である青い星々の姿が写り、新たな星が形成される領域を示す赤色やピンク色の領域が所々に写っている様子がわかる。また塵が多く集まっていることを示す黒い線も写っている。しかし全体的に特殊な渦の巻き方をしていたり、羽毛のようにふわふわした部分が所々で見られるのが、普通の銀河と比べて風変りな印象を受ける。

 

 NGC 1511は、うみへび座方向約5,000万光年離れた場所に位置する。写真には写っていないが、この銀河にはNGC 1511A、1511Bと呼ばれる小さな伴銀河が存在する。またNGC 1511BとNGC 1511は近接しており、細い水素ガスの線で結ばれていることから、過去に衝突したと考えられている。NGC 1511Bはこの衝突によって引き伸ばされたり、歪んだ構造をしている。また写真1をみると、NGC 1511と1511Bの衝突によって、NGC1511もいびつな構造をしているのが見て取れる。

 

 NGC 1511と1511Bの衝突によって、NGC 1511において爆発的星形成が行われた。このためNGC 1511には多くの星団が存在する。この星団を研究することで、星間物質が背景にある雲とどのようにして物質循環をしているのか理解が進むことが期待されるとしている。