11月8日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, G. Fabbiano.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた活動銀河・NGC 4102の姿。

 

 ESAは3日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された活動銀河・NGC 4102の姿を公開した。活動銀河は銀河中心が明るく輝いているのが特徴であるが、この銀河は中心部分が厚いガスで覆われているため、光が弱い。中心部分は黄金色に輝き、そこから塵の集まりを示す茶色の渦巻腕が伸びている。渦巻腕の中には青色をした星や、星形成が活発に行われているピンク色の領域が確認できる。

 

 NGC 4102は、おおぐま座方向約5,600万光年離れた場所に位置する活動銀河である。活動銀河とは活動銀河核を持つ銀河のことであり、活動銀河核とは、銀河中心に超巨大ブラックホールが存在し、そのブラックホールが強大な重力によって周りにあるガスを吸収し、そのガスが熱せられることによって中心部分が光り輝く領域の部分のことをいう。活動銀河核からは、X線から波長の長い電波まで様々な放射線が出ている。NGC 4102は活動銀河核と周りの環境との相互作用を研究する上で格好の対象となっている。

 

 また活動銀河核には様々な種類が存在する。大量のガスを吸収し、荷電粒子を含むジェットを噴き出すものや、中心部分が分厚いガスで覆われているために、周りのガスを少しずつしか吸収できず、光の弱いものも存在する。後者はCompton-thick galaxyもしくはLINER(low-ionisation nuclear emission-line rigionの略) galaxyと呼ばれる。NGC 4102はまさに後者の活動銀河核に該当する。

 

 今回公開された写真は、HSTに搭載されたWide Field Camera 3の可視光観測及び、Chandra X-ray望遠鏡のX線観測で得られたデータを解析して得られた画像である。この観測は、NGC 4102とその活動銀河核の関係性を理解するために行われた。