10月25日

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, A. Riess, K. Noll.
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた渦巻銀河・NGC 3370の姿。
ESAは20日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された渦巻銀河・NGC 3370の姿を公開した(写真1)。軸が斜めのところから写し出した写真であるが、中心に古い星が多く集まることを示す黄色がかった領域があり、赤褐色をした塵の線も存在する。中心領域から渦巻腕が外側に伸びており、星団が存在する青い塊も見て取れる。
NGC 3370は、しし座方向約9,000万光年離れた場所にある。HSTによって撮影された写真は2003年にも公開されており、これまでのおよそ20年間において何度も撮影が行われてきた。この銀河にはセファイド変光星とⅠa型超新星が存在し、これらの特徴を捉えることで遠くにある銀河までの距離を決定することができる。そのため研究者にとっては格好の研究対象となっている。
セファイド変光星は、数日から数ヶ月という単位で変光をしており、そのたびに、大きさと温度が変わる。セファイド変光星の光の強さが強いほど、変光周期は大きくなる。そしてこれらの変光周期を観測することで、実際にセファイド変光星がどのくらい輝いているのかを確かめることが可能であり、地球からの正確な距離を測ることができる。この観測結果を利用して、この光の強さと同じくらいの光の強さを持つ星や銀河までの距離を正確に測ることも可能となる。
Ⅰa型超新星は、白色矮星がその伴星からの質量降着によって、白色矮星中心部分における突然の核融合により爆発する現象のことをいう。Ⅰa型超新星も、爆発して光の強さがピークに達したときの光の強さを捉えることで、セファイド変光星と同様にその超新星までの距離を正確に測ることが可能である。
セファイド変光星とⅠa型超新星は、その星までの距離を測ることだけでなく、宇宙の膨張がどれだけ速く進んでいるかを確かめるためにも用いられている。