9月6日

 

 

 

写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, D. Thilker.

ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた渦巻銀河・NGC 7456の姿。

 

 ESAは1日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)の紫外線・可視光線・赤外線観測によって捉えられた渦巻銀河・NGC 7456の姿を公開した(写真1)。NGC 7456はつる座方向約5,100万光年離れた場所に位置する。一見すると全体的にぼやけた姿をしているが、真ん中が明るく輝いており、そこから塵や星形成領域で構成された2本の渦巻腕が外側に伸びている様子がわかる。

 

 今回のハッブル宇宙望遠鏡による観測では、渦巻銀河・NGC 7456を紫外線・可視光線・赤外線観測で捉えることによって、星の形成活動や水素ガスの様子、星団の様子を確認し、銀河がどのように進化してきたかを理解することを目的として行われた。また過去にはXMM-NewtonによるX線観測によって、銀河中心部に強力なX線源があることが確認されていた。このときNGC 7456の大きさから予測されるX線放射量よりも多くのX線が放射されていることが確認された。このためNGC 7456の中心部には超巨大ブラックホールが存在すると考えられており、NGC 7456はいわゆる活動銀河(*注1)に該当することとなる。

 

 写真1で見ることのできる渦巻腕をよく見ると、黒い塊が連なっていることがわかるが、この部分には塵が存在する。またピンク色に光り輝く領域は星形成領域であることを示している。この部分にはガスが多く存在し、新しい星を形成する際の材料となる。

 

*注1銀河の中には、中心部の非常に狭い領域から銀河全体を凌駕するような強い電磁波を放射しているものがある。このような銀河中心部領域を活動銀河核(しばしば AGN と略称される)といい、活動銀河核を持つ銀河を活動銀河という。活動銀河核の莫大なエネルギーは、核の中心にあるとされる超巨大ブラックホールに周囲の物質が降着して降着円盤を作り、重力エネルギーが解放されることで生まれると考えられている。