8月23日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, R. Chandar, J. Lee and the PHANGS-HST team.
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた渦巻銀河・NGC 2835の姿。
ESAは18日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された渦巻銀河・NGC 2835の写真を公開した(写真1)。真ん中に黄色に明るく輝く楕円形の棒構造があり、その周りを青い星や星形成領域であるピンク色の領域を含む渦巻腕があり、渦巻腕に沿って塵が存在することを示す黒い筋も存在する様子がわかる。
NGC 2835はうみへび座方向約3,500万光年離れた場所に位置する。2020年にHSTによって撮影された初めての写真が公開され、ジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡もその姿を捉えた。
今回公開された写真は、これまで撮影された写真と異なり、HSTが捉えたHα線(*注1)のデータが取り入れられている。写真1の中では、いくつものピンク色の花のように見える領域がHα線で捉えられたものであり、星形成が活発に行われていることを示している。ちなみにHα線は新しくできた巨大星が作るHⅡ領域を捉えたり、死にゆく星が起こす超新星によってできた星雲を捉えるのにも利用されている。
HSTによって今後19もの近くの銀河の様子を捉え、50,000個ほどの星雲を調査する計画が立てられている。これらの研究によって、星達がどのようにして自らの光や星風によって周りの環境に影響を及ぼすかの理解が進むことが期待されるとしている。
*注1 可視光で電離水素領域(HII領域)を観測する場合に最も顕著に見えるスペクトル線であり、波長は656.3nmで可視光の赤に当たる。水素原子が放射するバルマー線のうち、主量子数n=3とn=2のエネルギー準位のあいだを電子が遷移するときのスペクトル線である(n=3からn=2への遷移では輝線、n=2からn=3の遷移では吸収線)。