5月2日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, J. Dalcanton, R. J. Foley (UC Santa Cruz), C. Kilpatrick.
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた特異銀河・Arp 184(NGC 1961)の姿。
ESAは4月28日、ハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって捉えられた独特な形をした銀河・Arp 184(NGC 1961)の写真を公開した(写真1)。斜めの角度から銀河の姿が捉えられており、銀河が立体的に見えるとともに、渦巻腕が我々に向かってきているように見える。中心部は明るく輝き、周りに星とガスで構成された渦巻腕が存在するが、手前にある渦巻腕はたくさんの星が写し出されているものの、奥側にある渦巻腕は星が少ない。
Arp 184は、きりん座方向およそ1億9千万光年離れた場所にある。Arp 184は、1966年にホールトン・アープ氏が独特な形をした銀河338例を写真集としてまとめた「アープアトラス」のうちの一つの特異銀河である。アープアトラスに掲載された銀河は、どれも綺麗な楕円銀河や渦巻銀河とはなっていない。これらの銀河は他の銀河と相互作用をしているものが多く、中にはよく形のわかっていない矮小銀河も含まれる。
Arp 184の写真1を見ると、星が散りばめられた渦巻腕が我々の方向に向かってくるように存在していることがわかる。しかし我々から遠ざかる方向にある渦巻腕は、手前にある渦巻腕ほどに多くの星が散りばめられた様子はなく、少しの星と多くのガス雲で構成されているように見える。
今回撮影された写真は、HSTによる3つの観測プログラムで得られたデータ解析によって作成された。3つのプログラムのうち、1つは短期的な観測によってアトラスアープ天体を捉えるというもの、残りの2つのプログラムは、超新星や潮汐破壊といった短い天体現象の影響を確認するためのものである。
Arp 184は過去30年間に4つの超新星が確認されており、超新星を観測するのに格好の対象となっている。