6月21日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, E. Sabbi, D. Calzetti, A. Aloisi.
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたスターバースト銀河・NGC 4449の姿
ESAは16日、ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された近傍銀河・NGC 4449の写真を公開した(写真1)。全体的に塵がある場所を示す暗い赤色を帯びており、ところどころに、星形成が行われている領域を示すピンク色の場所がある。また背景にたくさんの青い星が写っている。
NGC 4449は、りょうけん座方向約1,250万光年離れた場所にある。また我々が住む天の川銀河が属する局所銀河群の近傍銀河団・M94の一つの銀河であり、天の川銀河よりも星の数がずっと少なく、大きさが小さい矮小銀河に分類される。
規模が小さいがために、星があまり作られていないと予想されるが、実はこの銀河はスターバースト銀河(爆発的星形成を行う銀河)であり、銀河の大きさから予測される星形成率をはるかに上回る速さで、新しい星を形成している。また通常のスターバースト銀河は、銀河中心において星を多く形成するが、NGC 4449では至る所に若くて光り輝く星が存在する。この理由については、近傍銀河との相互作用が関係していると考えられている。
NGC 4449は近傍銀河であるがために、銀河間の相互作用が星形成にどのように影響しているかを研究する上で、格好の研究対象となっている。HSTによって初めて撮影されたのは2007年であり、今回の写真はHSTの多波長観測プログラムによって改めて撮影されたものである。
現在NGC 4449はジェームズ・ウエッブ宇宙望遠鏡によっても観測がなされている。この観測によって、NGC 4449の塵やガスの構造、若い星から放たれる放射線の構造について多くの謎が解き明かされることが期待されている。