6月14日
写真1 ( C ) ESA/Hubble & NASA, C. Kilpatrick.
ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された棒渦巻銀河・IC 758の姿。
ESAは9日、2023年にハッブル宇宙望遠鏡(以下HST)によって撮影された棒渦巻銀河・IC 758の写真を公開した(写真1)。中心に淡い黄色の棒状構造があり、そこから2本の渦巻腕が出て、きれいに渦を巻いている様子がわかる。渦巻腕の中で明るく輝く斑点状になっている場所では、星形成が活発に行われている。
IC 758は、おおぐま座方向約6,000万光年離れた場所に位置する。写真1を見ると穏やかな様子を見せているが、実は1999年に星の死を意味する超新星・SN 1999bgが確認された。SN 1999bgは太陽質量よりもはるかに重い星が、重力崩壊により死を迎えた際に起きた爆発現象である。
天文学者たちは、超新星・SN 1999bgが起こる前に巨大星がどのような姿をしていたのかを探るべく、SN 1999bg周りにある星達をHSTによって観測することとした。またこの観測によって、超新星を起こす星がどのくらいの質量があったかを見積もることができると考えた。さらにSN 1999bgが伴星を持つ連星系であるかどうかも確認ができると考えた。観測の結果、写真1のような写真を撮影することに成功したが、具体的な質量などのデータなどを得るには至っていない。
超新星は星の死を意味するだけでなく、周りの環境を大きく変える力を持っている。巨大星が重力収縮によって超新星を起こすが、このとき星の外層が外に出ていき、また元に戻ってきて、再び星形成を行うための材料となる。また爆発現象によって周りの星間ガスや塵をかき混ぜ、ガス雲を温めることで星の形成を阻害したり、ガスを圧縮して爆発的星形成をもたらすこともある。