
上のアニメーションは\(x=A\exp(\sigma t)\cos(\omega t+\phi)\),\(y=A\exp(\sigma t)\sin(\omega t+\phi)\)という式を用いて、A=1.0、\(\sigma=0.2\)として物体を運動させたときの軌跡を示しています。中心付近から円を描きながら、大きく外側に動き出す様子がわかります。
解析力学という学問において\(\frac{dx}{dt}=v\)という式のことを力学系と呼びます。物体がn個存在する場合には、xとvに下付きのiという記号をつけて、n個の方程式が現れます。この微分方程式を解けばxが求まりますが、xが厳密に解けないことが多々あります。その場合、このxから物体が少しずれた場合にどのような振る舞いをするかを考えることによって、解の性質を導くことができます。
まずは力学系を少し変形すると、\(v=Kx\)という式に変換することが可能です。Kは力学行列と呼ばれます。力学行列の固有値がどのような値になるかによって、解の安定性を議論することが可能となるのです。またv=0となる点は不動点と呼ばれ、この点xを原点に持ってきた場合の、不動点から少しずれたxの解が\(v=Kx\)という形に表されるのです。この微分方程式を数値的に解くことによって点の軌跡を描くことができます。力学行列Kの固有値が複素数の場合、今回のアニメーションで用いている方程式が現れます。上のアニメーションでは、原点が不動点であるのに対して、解が中心から外側に向けて発散するように運動していくため、解は不安定であると判定されます。
次に\(\sigma\)の値を-0.2にしてみましょう。またA=140としてみます。そうすると以下のようなアニメーションになります。

今度は外側から中心に向かって物体が収束するように運動していきます。原点付近の解は原点に向かって運動していくため、この場合は解が安定していることを意味しています。
\(\sigma\)の正負によって解が安定か、不安定かが変わってくるということです。