ここでは複素平面における様々な一次変換を紹介していきます。

 

 

 

 早速ですが、上のシミュレーションは複素平面上におけるアポロニウスの円を再現したものです。その下のシミュレーションはw平面において3つの半径rの円を用意して、角度θを徐々に動かしたときの様子を示しています。青色は半径0.5、紫色は半径1、ピンク色は半径2です。上のシミュレーションはこのw平面の物体の動きに対して\(z=\frac{bw-a}{w-1}\)・・・(1)という式を用いて物体を動かしたときの様子を示しています。(1)式は複素平面における逆一次変換を表しています。アポロニウスの円の式は、w平面における円をz平面における円(複素関数では直線も円の一種と考える)に移す逆一次変換ですが、紫色で示した直線は、青色の円における中心点とピンク色の円における中心点の垂直2等分線になっています。

 

 複素平面上における一次変換は、写像の中でも最も基本的な写像ですが、様々な複素関数に関する定理を証明するうえでとても重要な役割を果たしています。次のシミュレーションは\(w=z^{2}+z+i\)をアニメーションにしたものです。zを円を描く\(r\exp(i\theta)\)として、wの軌跡を描いたものになっています。青色がzでピンク色がwです。ここではz平面とw平面を重ねてみました。r=0.5としています。

 

 

次に紹介するのは\(w=\frac{z-a}{1-\bar{a}z}\)(\(\bar{a}\)はaの複素共役)という一次変換の式をアニメーションにしたものです。 ここでもzを円を描く\(r\exp(i\theta)\)としてwが動く軌跡を示しており、z平面とw平面を重ねています。この一次変換の式は複素関数論における「ポアソン核」を導出する上で必要です。wもzと同じ円を描きますが、動く速さが違いますね。aは実数でa=1、r=1としています。

 

 

複素関数論はとても難しい数学の理論ですが、複素平面上でzが一次変換によってどのような描像を描くかをいろいろとシミュレーションしてみると、楽しくなりますよ!